インフルエンザが流行期を迎えた中、有田町の小中学生にインフルエンザ感染者が極端に少ないことが話題になっている。同町では昨季、予防効果があるとされる乳酸菌飲料が無料配布され、小中学生の感染者が減少。町は飲料の効果とともに「予防意識が高まったことも大きな要因ではないか」と分析している。
同町は小学校4校に1245人、中学校2校に624人が在籍。このうち今季インフルエンザに感染した児童・生徒は6人(1月30日現在)。6校のうち小、中各2校はまだ1人の感染者も出していない。
要因の一つと考えられるのは、大手メーカーが販売する「1073R-1乳酸菌」が入ったヨーグルト飲料。この乳酸菌は免疫機能をつかさどる「NK細胞」を活性化させる効果があるという。同町は、生活習慣病予防事業を通じてつながりがあった同社からの無償提供を受け、2010年9月-11年3月まで約半年間、町内の3歳-中学生、学校の教職員計2600人に給食時間などに飲んでもらった。
その結果、感染率は小学生0・64%(県平均4・37%)、中学生0・31%(同2・57%)で、県内隣接市と比べると小学生で15分の1以下、中学生で5分の1以下に抑えられた。
無償提供後も家庭で飲み続けている子どもも多いとみられ、町内のスーパー「マックスバリュ有田店」(山口康男店長)では昨夏から、他店の倍以上を販売する売れ筋商品として定着。最近は入荷直後に売り切れる状態が続く。メーカーも品薄状態といい、山口店長は「今後、供給が不安定になるのでは」と話す。
一方、各校の取り組みも見逃せない。うがい、手洗い励行はもちろん、大山小では普段4人ほどが向かい合って食べる班別の給食をこの時期だけは見合わせ、学年間交流も中止している。今季、まだ1人の感染者も出していない曲川小では体力づくりのため、前年度2学期から、1-3時間目後の10分ずつの休み時間を5、20、5分に変更。20分の休み時間には外で遊ぶように呼び掛けたところ、今では朝から校庭がにぎやかになった。
同町健康福祉課の奥本陽子保健師は「乳酸菌飲料をきっかけに手洗い、うがいも念入りにするなど、予防意識が高まった成果が表れたのかも」と説明。「インフルエンザだけでなく、今後の住民の感染症予防、健康づくりにつながれば」と期待していた。
=2012/02/02付 西日本新聞朝刊=